『変形作品第1番』
Metamorphose Works No.1
(8mm / color / 16min. / 1984)
画面中央に浮かぶドーナッツ型のイメージが、まるで生き物のように胎動を始める。色彩や模様を絶え間なく変化させながら次第に力を増していき、やがて爆発的な放射運動へと続く。
作者自身による絵画をコマ撮りした抽象アニメーションの第一作目。
『変形作品第2番』
Metamorphose Works No.2
(8mm / color / 25min. / 1984)
瞬く閃光が暗闇を引き裂き、摩訶不思議なイメージが浮かび上がってくる。波のような反復性と爆発性を合わせ持った鋭いノイズに合わせ目まぐるしく映像は入れ替わり、それがもたらすフリッカー効果が見る者を現実から遊離させていく。
『ソナタ第1番』
Sonata No.1
(8mm / color / 40min / 1985)
壁面や砂利道などの写真を音階に見立て、クラシックのソナタ形式を模して4楽章で構成されている。クライマックスでは写真を細かく裁断したり、絵具による加筆で色彩が変化したりしながら、めくるめく「視覚の音楽」が展開する。
『変形作品第3番<ミックスジュース>』
Metamorphose Works No.3〈Mixed juice〉
(8mm / color / 16min / 1985)
郊外の駅前、目刺しの干物、鶏ガラ、丸太を削る男。男がナタで一撃を加えると、すべての光景が回転を始める。まるでジューサーにかけられたかの如く、細かく分解され、やがて少女の持つグラスに収められる。スチル写真のコマ撮り手法による作品。
『変形作品第4番<壁画>』
Metamorphose Works No.4〈Mural〉
(8mm / color / 60min / 1985)
無の空間からイメージの断片が発生し、いつしか重圧な壁面が築き上げられる。それを突き破ると光の洪水が溢れ出す。パフォーマンスに用いた多面スクリーンの断片素材を映画形式に再構築したもの。
『変形作品第5番<レンブラントの主題による変形解体と再構成>』
Metamorphose Works No.5〈Deformation dismantling and reconstruction by Rembrandt's theme〉
(8mm / color / 28min. / 1986)
17世紀オランダの画家、レンブラントによる1枚の厳粛な絵画が突如として唸りをあげ、変形と解体を展開していく。作者の初期作品を代表する「変形シリーズ」の集大成。
『海の唄』
Sea Roar
(16mm / B&W / 30min. / 1988)
ある漁村で廃船を燃やす慰霊祭が行われ、役目を終えた老漁船たちは死の間際に夢を見る。路地を疾走する深海魚、長大な綱を引く漁師たち、泣き叫ぶ少女の亡霊…。様々なイメージが寄せては返す波のように観る者を白昼夢へと誘う。
『みみず物語』
Worm Story
(16mm / color / 15min. / 1989)
ウサギとミミズの追いかけっこという、お馴染みの民話パロディーから始まるが、ほのぼのとした雰囲気から一変、シュールなイメージが連続し、物語は解体していく。抽象アニメーションを極めた作者が、新たに物語性を取り込み始めた意欲作。